上場株式の譲渡益(一般口座分)を確定申告するにあたって、自力で確定申告した方法を記録がてら記載します。
特に複数回の売買があり、集計と取得費用の計算が必要だったので、その場合について解説します。
・一般口座で上場株式等の譲渡益がある人
・自力で確定申告したい人
・取得費用の計算方法を知りたい人
なお、この記事は作成時点(2023年1月25日)の法令等となっていますのでご注意ください。
※私は日興証券を利用しているので、画面や資料等は日興証券のものを利用しています。
※特定口座での取引分は「特定口座年間取引報告書」で確認してください。(「源泉徴収あり」なら確定申告の必要はありません)
事前準備
一般口座は特定口座と違い、年間取引報告書がないので自分で集計する必要があります。
複数回の取引がある人は、以下の準備(見れるように)をしてください。
・取引報告書(購入分)
・取引報告書(売却分)
・Excelなどの表計算ソフト(手書き計算でも可)
【取引報告書の確認方法】(オンライン)
証券会社のオンライントレードにログインして、「電子交付履歴」へ移動します。
電子交付された資料の一覧が表示されるので、「取引/取引残高報告書」のタブで一覧を表示します。(日興証券の場合デフォルトでここが表示されています)
下に少しスクロールすると、下記のような一覧があります。
この中から、当該確定申告年分の「取引報告書」のうち「一般口座」の分が必要になります。(購入分はその年とは限らないので、当該年に売却した株式を最初に購入した時期までさかのぼる必要があります)
上記の画面では「一般」か「特定」かが分かりませんので、ファイルを開いて確認してみましょう。
PDFを開くと、上記のような取引報告書が表示されます。
※補足:特定口座の場合は、備考欄に「特定口座」と入っています。(今回これは必要ありません)
※ストック・オプションで取得した場合は、購入の取引報告書はありません。その場合は、会社が発行する「ストック・オプションの支払調書」で取得(行使)金額(税制非適格の場合は行使時の時価)を確認する必要があります。
手順の説明(集計)
※譲渡益の計算は銘柄ごとに計算すると分かりやすいです。複数銘柄の売買がある場合は下記の手順を銘柄ごとに行ってください。
(確定申告上は金融商品取引業者毎でいいので全部まとめて計算しても問題ありませんが、分かりにくいので私は銘柄毎に計算しています)
共通の作業
【購入リスト作成】
購入の取引報告書から購入リストを作成します。
購入時に取引手数料が発生した場合は、その金額(手数料の消費税込み)を合計して購入費を計算します。※手数料が発生しない取引の場合は0円とします。
【売却リスト作成】
取引報告書が複数枚ある場合は、1枚に付き1行で作成すると、あとで抜け漏れチェックが簡単にできますのでおすすめです。
リストを作成したら念のため合計の株数等が合っているか確認してくおきましょう!
取得費の計算
次に取得費を計算します。
この工程は場合分けがありますので、ご自身の状況に合わせて必要な個所を参考にしてください。
・同一銘柄の購入が1度だけの場合
購入→売却(売却は複数回あっても同じ)
・同一銘柄の購入が複数ある場合
→①売却が1度の場合:購入→購入→売却
→②売却が複数回の場合:購入→購入→売却→購入→売却
購入が1度だけの場合
購入が一度だけの場合の取得費は以下の通りです。(上記の例で計算してみます)
平均取得費=(購入④の購入代金)÷(購入④の数量)
=930,000円÷2,000株
=465円
売却⑤の取得費=465円×1,000株=465,000円
※取得費の計算結果で小数点以下が生じた場合は、小数点以下を切り上げます。
(例:計算結果が465.25円の場合、取得費は466円となります)
※購入代金には購入時の手数料(消費税込み)を含みます。
※なお、売却⑤のあとにさらに売却しても、平均取得費は変わりません。(次回購入するまで変わらない)
購入が複数回ある場合
購入が複数回ある場合、通常はそれぞれ株価や手数料が異なるため総平均法で取得費を計算する必要があります。
さらに、売却のタイミングによって、さらに場合分けが発生しますので、以下のパターンでご確認ください。
①売却が1度の場合:購入→購入→売却
上記のように、購入が複数回で売却が(2回の購入後)1回の場合、売却①の取得費は購入①と②の総平均で求めます。
平均取得費=(購入①の購入費+購入②の購入費)÷(購入①の数量+購入②の数量)
=(3,104,901+2,434,800)÷(4,000+3,000)
=5,539,701円÷7,000株
=791.3…
小数点以下繰り上げ
=792円
売却①の取得費=792円×2,000株=1,584,000円
②売却が複数回の場合:購入→購入→売却→購入→売却
購入と購入の間に売却が含まれる場合は、それぞれ平均取得費が異なってきます。
この場合、売却①~③と売却④では平均取得費が異なるので注意してください。
【売却①~③の取得費】
平均取得費①=(購入①の購入費+購入②の購入費)÷(購入①の数量+購入②の数量)
=(3,104,901+2,434,800)÷(4,000+3,000)
=791.3…
小数点以下切り上げ
=792円
売却①~③の取得費=792円×(2,000株+500株+1,000株)
=2,772,000円
【売却④の取得費】
平均取得費②=(平均取得費①×売却③後の残数+購入③の取得費)÷(売却③後の残数+購入③の数量)
=(792円×3,500株+645,000円)÷(3,500株+1,000株)
=3,417,000円÷4,500株
=759.3…
小数点以下切り上げ
=760円
売却④の取得費=760円×1,500株=1,140,000円
確定申告(画面入力)
最後に確定申告を自分で行う際の入力について簡単に紹介します。
確定申告書を作成するには、「国税庁 確定申告書等作成コーナー」にアクセスします。
作成する方法は、自分が可能な方法を選んでください。(マイナンバー利用、マイナンバーなし、印刷して提出など)
※給与所得など、他の所得税にかかる所得がある場合は、それらを入力する必要がありますが、ここでは省略します。
以下は、上記の手順を踏んで進んだあとの画面です。
分離課税の「株式等の譲渡所得等」欄の「入力する」をクリックします。
「株式等の「取引明細」などの内容を入力する方」という欄までスクロールします。
「特定口座(源泉徴収あり・源泉徴収なし)以外で上場株式等の売却がある。」にチェックを入れます。
「株式等の「取引明細」などの内容を入力する」ボタンが有効になるので、クリックします。
そうすると、以下のような明細入力画面が出ますので、作成したリストを見ながら入力していきます。
「金融商品取引業者等ごとに」入力とありますので、全部まとめて入力しても金額があっていれば税額計算は正しく行われます。
私は念のため、銘柄・日付毎に入力しました。同じ日付で複数の約定があるものは一つにまとめました。
入力したら内容をチェックして一番下にある「入力終了(次へ)」をクリックすると、税額が計算されます。
以上、これで申告完了です。
納付税額がある場合は、そのまま支払方法の選択へ進めます。
ネットバンキングやクレジットカード(手数料あり)なども選べるので、家から一歩も出ずに申告と納付が完了できて便利です。(昔は印刷して郵送して振込に行って・・・・と面倒でした)
以上、参考になれば幸いです。
「株式等の取得のための借入金の利子」、「投資一任契約の報酬」、「譲渡損失の繰り越し控除」については、この記事で取り扱っていません。
コメント